動画制作会社の選び方|TeiTei!
- 2 日前
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動画制作会社の選び方
業界の定説は、間違ってはいない。 でも、それだけでは足りないと感じることがあまりに多い。信念を持ってこの仕事に向き合っている以上、作る側にいる人間が、「本音」を言葉にしておく意味がある。そんな思いから、業界の定説に提言する『TeiTei(テイテイ)』を始めました。
今回は、動画・映像制作を検討している企業担当者に向けて、制作会社選びの考え方を整理していきます。
世の中には、このテーマについて書かれた記事が数多くあります。実績、費用、提案力、担当者との相性。挙げられる項目も、おおむね共通しています。
それでも発注者が迷い続けるのは、項目が足りないからではなく、それをどう見抜くかが難しいからでしょう。
そこで本記事では、業界でよく語られている“定説”を整理したうえで、僕なりの“提言”を重ねていきます。一般論の確認ではなく、発注判断の精度を上げる、実践で使える文章として書きます。
目次
1.「動画制作会社の選び方」における項目比較
企業にとって、動画制作はずいぶん身近なものになりました。
それに伴って、制作会社各社も、発注を検討する企業担当者に向けたお役立ち記事を数多く公開するようになっています。
そこで今回は、動画・映像制作に関する情報発信を継続的に行っている制作会社の記事を見比べながら、世の中ではどんなテーマが多く扱われているのかを整理してみました。結果は次の通りです。
動画制作会社11社のお役立ち記事におけるテーマ別掲載数
費用・相場・見積もり | 9 |
動画制作会社の選び方 / 発注方法 | 7 |
採用動画 | 7 |
商品・サービス紹介動画 | 7 |
会社紹介動画 / コーポレート動画 | 6 |
動画活用のメリット / ポイント | 6 |
動画マーケティング / 広告活用 | 6 |
制作フロー / 依頼の進め方 | 5 |
事例集 / 成功事例まとめ | 4 |
YouTube / SNS運用 | 4 |
内製化 / 外注比較 | 3 |
今回はその中から、「動画制作会社の選び方」を取り上げます。
そして今回は、動画制作会社の選び方というテーマで比較しやすい7記事を対象に、各社がどんな基準で選び方を語っているのかを集計してみました。
動画制作会社の選び方記事7本における選定基準別掲載数
実績・得意分野 | 6 |
費用・見積もり | 5 |
企画力・提案力 | 4 |
コミュニケーション / 担当者対応 | 4 |
制作体制・進行管理 / サポート体制 | 3 |
目的・ターゲット整理 | 3 |
納期・スケジュール | 2 |
修正対応 | 2 |
用途・掲載媒体 | 2 |
データ保管・著作権・納品後対応 | 2 |
今回は、このランキング上位のトピックを軸に、各社が語っている“定説”を整理しつつ、それに対して僕の“提言”を重ねていきます。
なお、「コミュニケーション / 担当者対応」と「制作体制・進行管理 / サポート体制」は、集計上は別項目ですが、発注者の立場ではどちらも「安心して進められるか」という近い論点につながるため、本文ではまとめて扱います。
2. 掲載数1位|実績・得意分野(6/7)

多くの制作会社の記事で、まず大事だとされているのがどんな実績があるかです。
ただし、ここで見るべきなのは件数の多さや有名企業の名前だけではありません。自社が作りたい動画に近いものを作っているか、その会社の得意分野が今回の依頼内容に合っているか、そこを見た方がよいとされています。会社紹介、採用、商品PRのように、動画の種類が変われば必要な考え方も変わるためです。業界や用途が近い実績がある会社の方が、話が早く、仕上がりの想像もしやすい。どの記事の結論もこの方向で揃っています。

やはり制作会社を選ぶ上で実績はかなり重要です。忌憚なく言えば、実績の確認ができない制作会社は、少なくとも最初の候補から除外しても良いぐらいです。
ただし、実績を見るときに気をつけたいことがあります。それは、その案件でどの領域を担当していたのかまで確認すること。
特に案件の規模が大きくなるほど、制作は分業になりやすくなります。会社として華やかな実績が載っていたとしても、今回こちらが発注したい領域を、その会社が本当に担っていたとは限りません。だから、実績を見るときは、案件名や見た目の派手さだけでなく、この会社はその案件のどこを請け負ったのかまで見た上で評価した方がいいと思います。
一方、“得意分野”については、少し見方が難しいとも感じています。というのも、発注者がこの“得意不得意”を正確にジャッジするのは、案外簡単ではないと思うのですが、いかがでしょう?
たとえば「採用動画が得意」と書かれていても、題材と表現は別です。例えば、同じ採用動画だったとしても、ドキュメンタリーなのか、ドラマ調なのか、インタビュー中心なのか、で事情はかなり変わります。
弊社でいえば、得意な題材は「馬」で、得意な表現は「ドキュメンタリー」です。
その掛け合わせが分かりやすい実績としては、たとえば JRA日本中央競馬会様の『ICHIRO MEETS KEIBA 2025』があります。一方で、馬ではなく、人を軸にしたドキュメンタリーも多く手がけていて、SmartHR様の『人事DX推進ドキュメンタリー』もその一例です。どちらも実績ページ上で担当領域が明記されているので、そこまで含めて見ていただくと、判断材料としてはより正確だと思います。
なので個人的には、“得意分野”という言葉そのものにあまり固執しすぎず、まずは実績の質と量を見る。そのうえで、できれば担当領域まで確認する。というのを推奨したいと思います。
ICHIRO MEETS KEIBA 2025シリーズ
SmartHR 人事DX推進ドキュメンタリー
3. 掲載数2位|費用・見積もり(5/7)

費用については、単純に安いか高いかで見るのではなく、何にいくらかかっているのかが見えるかを確認した方がよい、という書き方が目立ちました。
企画、撮影、編集、音まわり、修正対応など、動画制作にはいくつもの工程があります。見積もりにその内訳がきちんと書かれているか、追加料金が発生しそうな項目が曖昧になっていないか、修正回数はどこまで含まれるのか。そういった点を事前に確認することが大切だとされています。金額そのものより、見積もりの中身が見えるかどうか。多くの記事は、そこを注意点として挙げています。

見積もり作りって、本当に難しいんですよね。項目をできるだけ細かく出してほしいという方もいるし、その一方で「項目は映像制作費だけでいいので、総額だけ書いてください」という方もいます。
見積もりの項目は、ざっくり言えば、“人”と“物”が動くことから生まれます。 たとえば、人が動けば人件費だけでなく、交通費や宿泊費のような実費も発生しますし、物が必要になれば、撮影機材、スタジオ、小道具などの費用が出てきます。 ただ実際には、それだけではなくて、権利確認、データ保管のような管理コストもあります。
ただ、ここで難しいのは、発注者がその項目を見ただけで、何が品質に直結するのかを判断するのは簡単ではない、ということです。 たとえば、カメラの台数が多いプランを考えている会社の方が、カメラ代もカメラマン代も大きくなるので、総額は上がるはずです。 でも、そのコストを削ってよいのかどうかは、発注者だけでは判断しにくいことも多いと思います。見積もり上の項目が、完成形にどう影響するのかは、制作会社側の説明があって、ようやく見えてくることが多いからです。
なので個人的には、見積もりを比較するときは、
① 項目はできるだけ分解して細かく出してもらう
② 動画の完成イメージとあわせて、各項目の意味を説明してもらう
この2つをした方がよいと思っています。
そのうえで、もし「A社の方が良い。でもコストだけが厳しい」と感じるなら、相見積もりを取って、それを材料にA社に相談してみるのも有効です。
弊社でも、相見積もりのご相談はもちろん、新規のお客様からは、具体的な見積もりの依頼より先に、まず大まかな相場感を尋ねられることが少なくありません。 だからホームページでは、参考用の料金表を公開していますし、見積書の項目もできるだけ細かく分けています。修正回数やデータ保管、撮影データの扱いといった条件も、最初から見えるようにしています。
見積もりは、その会社がどんな考え方で動画を作るのかが、いちばん素直に出る資料だと言えるでしょう。 だからこそ、内容を確認したうえで、わからないことや気になることがあれば、決してそのままにせず、なんでも聞いてみるのがいいと思います。
4. 掲載数3位タイ|企画力・提案力(4/7)

企画力や提案力については、言われた通りに作るだけでは足りないという方向で、かなり意見が揃っていました。
良い制作会社は、「どんな動画が欲しいですか」と聞くだけではなく、「何のために作るのか」「誰に届けたいのか」まで確認し、その目的に合った形を考えてくれる。見た目が整っているだけでなく、ちゃんと目的に向かって設計されているかが大事だ、という考え方です。打ち合わせの段階で、構成や考え方をある程度わかりやすく説明してくれる会社の方が安心、という流れも共通していました。

確かに、企画や提案は、動画制作の前段においてとても重要な仕事ですし、制作会社の腕の見せ所でもあると思います。精度の高い企画や提案を行うには、まず顧客の要望を正しく吸い上げるコミュニケーション力が必要です。そのうえで、現実的な制約も踏まえながら、それを動画という媒体に合った表現へ変換していく専門力も求められます。
そして、ここで試されるのが、やはり前述した“実績”と“得意分野”だと思います。
たとえば、実績の質も量も十分にあるのに、実際に企画提案をさせてみると、あまり響かないという会社もあるかもしれません。そこには何らかの理由があるはずです。オファーした条件面との相性が良くなかったのかもしれませんし、求められている内容がその会社の得意領域ではなかったのかもしれません。あるいは、ブランディングの巧みさと、実際の企画提案の実力が必ずしも一致しているとは限らない、ということもあるでしょう。
逆に言えば、実績も十分で、提案内容も「さすがだな」と思える会社に出会えたなら、正式発注にはぐっと近づくと思います。
弊社でも、手前味噌ではありますが、企画提案力がしっかり発揮できたと思える実績があります。それが、JRAシステムサービス様からご発注いただいた、引退した競走馬の新しい仕事を紹介するシリーズ『セカンドキャリウマ』です。
かくいう僕は、引退した競走馬がアフターキャリアの少なさから天寿を全うできないことが多いという“引退馬問題”の支援活動をライフワークにしています。
実は僕が独立起業したきっかけも、この問題をテーマにしたドキュメンタリー映画『今日もどこかで馬は生まれる』を監督し、劇場公開したことでした。その後はNHK出版より『サラブレッドはどこへ行くのか』という書籍も上梓しています。
長年、このテーマに向き合ってきた中で、「引退した馬の中にも新しい仕事に就いている存在がいることを、できるだけ多種多様に、ポップに紹介してほしい」というご依頼をいただきました。
そこで弊社は、独自のネットワークを活かした全国各地の引退馬のリストアップや出演交渉に加えて、女性ナレーターの起用、馬の写真と手書き風イラストを組み合わせたアニメーションの挿入など、シリーズとして見続けてもらいやすい番組フォーマットをご提案しました。 このシリーズは2025年10月の第1弾から始まり、現在も継続しています。
弊社の例は少し極端かもしれませんが、制作会社に対して、適切な条件と、その会社が力を発揮しやすい領域でオファーをすることができれば、企画提案力はより大きく引き出せると思います。
セカンドキャリウマ シリーズ
5. 掲載数3位タイ|担当者対応と制作体制(4/7&3/7)
各社の記事では、「コミュニケーション / 担当者対応」と「制作体制・進行管理 / サポート体制」は別の項目として語られていました。ただ、発注者の立場で見ると、どちらも結局は「安心して進められるか」という同じ問題につながっています。ここでは、あえてまとめて扱います。

担当者とのやり取りのしやすさも、複数の記事で大事なポイントとして扱われています。
動画制作は、一度頼んで終わりではなく、打ち合わせ、確認、修正など、完成まで何度もやり取りが続きます。そのため、話が通じやすいか、こちらの意図をちゃんとくみ取ってくれるか、必要なことを分かりやすく返してくれるかが、かなり重要になります。
「感じがいいかどうか」だけでなく、話が前に進むかどうか。多くの記事を読むと、そのあたりを面談や相談の場で見ておくべきだ、という考え方が共通しています。
そして、制作体制については、「誰が窓口なのか」「誰が実際に作るのか」「どういう流れで進むのか」が見えている会社の方が安心、という整理が多く見られました。
営業だけが前に立っていて制作側が見えない、修正の流れが分かりにくい、外注の比率が高くて品質にばらつきが出る。こうした点は、事前に確認した方がよいとされています。また、納品して終わりではなく、その後の使い方まで話せるかどうかを重視する記事もありました。表には出にくい部分ですが、進めやすさやトラブルの少なさに直結するので、意外と見落とせないポイントだと言えそうです。

まさに、良い担当者と巡り合えるかどうかで、動画制作が成功する確率はかなり変わると言っても過言ではありません。
ここまで読み進めていただいた方の中には、動画制作に対して「複雑そう」「難しそう」と感じている方もいるかもしれません。でも実際、動画制作には専門知識が必要な場面もありますし、多くの人や物を動かすことも珍しくなく、慎重に検討が必要な案件であることは間違いないと思います。
そうした中で、担当者の質は、その成否にかなり大きく関わってきます。複雑で難しいからこそ、その道のプロを頼りたいわけですが、そのコミュニケーションに不安があると、発注者は十分な理解を持てないまま制作がスタートしてしまったり、不測の事態が起きたときにうまくリカバリーしてもらえなかったりと、いろいろなリスクが生まれます。
担当者の質の測り方は、個人的にはシンプルだと思っています。わからないことや不安なことを、とにかく率直にぶつけてみること。そして、その返答を聞いて“安心できるか”で判断することです。もちろん、この“安心”の基準は人それぞれだと思います。発注者の性格や好みによる部分もあるでしょう。だからこそ、最終的には対話を重ねながら観察するのがいちばん確実です。
ただし、ここにはひとつ大きな落とし穴があります。それは、最初の面談で話した担当者が最後まで伴走してくれるとは限らないということです。
実際、問い合わせ対応をするのは営業で発注後は別の担当者に変わるという体制を敷いている会社も珍しくありません。実績が豊富な大手制作会社などでは、フロントに立つ営業は自社社員でも、実際の制作を担うのは外部のフリーランスディレクター、ということも業界的には普通にあります。
だから、発注前のやり取りの中で、発注後、その人はどのような関わり方をするのかは、できるだけ明確にしておいた方がいい。理想を言えば、最初の段階で、実制作の品質に責任を持つディレクターの質まで見極めたいところです。
なぜなら、どれだけ優れたフロント担当がいて、その人が実制作にも関わって現場に同行してくれるとしても、結局その場を進行するのはディレクターだからです。
たとえば、Evoto(Truesight Japan)様の導入事例動画では、サービスを活用している写真館のカメラマン、その先にいる学校法人など、多くの関係者を巻き込んで撮影を行いました。
発注者から見れば、“自社の顧客”と、そのさらに先の“顧客の顧客”に対して、撮影のためのお願いや指示をしていく現場です。そうした場面では、どれだけ技術のあるディレクターでも、コミュニケーションに不安がある人には任せにくいと思うのが自然だと思います。
結局のところ、動画制作はどの会社に頼むかだけではなく、誰が、どう伴走するかで成否が変わる仕事なのだと思います。僕自身も20年近くこの仕事をしていますが、どんな機材を使って、どんな撮り方をしたかよりも、どれだけ相手に寄り添い、一緒に考えながら作れたかの方が、実は後から振り返って強く評価されている気がします。
卒業アルバムのいま〜未来に残す新しい記憶のかたち〜
6. 掲載数5位タイ|目的・ターゲット整理(3/7)

記事によって濃淡はありますが、「制作会社を選ぶ前に、そもそも自社の目的や届けたい相手をある程度整理しておいた方がよい」という考え方も、何本かの記事に出てきます。
採用のための動画なのか、営業で使いたいのか、認知を広げたいのかで、動画の作り方はかなり変わります。ターゲットがぼんやりしたままだと、制作会社側も提案しにくくなり、結果として話がふわっとしやすい。制作会社選び以前の話に見えて、実はかなり大事な土台として扱われていました。

これは、3位タイの“企画提案力”にも大きく影響する要素です。言い換えるなら、精度の高い企画提案を行うためには、“制作目的”と“視聴ターゲット”という事前情報の質と量が、とても大事になります。キックオフから納品までの動画制作の過程で、判断に迷ったとき、道標になってくれる。
「この動画は何のために作るのか」「誰に向けて作るのか」その二つを何度も確認しながら、そこから外れないように進めていくことが大切だと思います。そして、できれば、その動画をどう使うのかという“活用方法”まで考えておいていただけるとなお良いでしょう。
たとえば、これは5年ほど前の案件ですが、明光義塾様を運営するMAXIS Education様の新卒採用動画は、その好例でした。この案件では、「新卒採用の二次選考会場で上映の時間を設け、来場者全員に観てもらい、実際の仕事のイメージをできるだけ具体的に持ってもらった上で選考を進めたい」という前提が、最初から明確でした。
整理すると、制作目的は応募者を増やすことではなく、選考段階でのミスマッチを減らすこと。視聴ターゲットは採用選考が進んでいる学生。活用方法は選考会場で上映することです。
この前提があったからこそ、こちらも「仕事の華やかな部分だけでなく、大変なところもできるだけリアルに描く、ドキュメンタリーにしてみませんか」と提案することができました。また、会場で上映する前提だったので、YouTube動画のように離脱を防ぐためのテンポ感や短尺化を最優先にするのではなく、最初から最後まで観てもらう前提で、制作目的の達成度を高めることにより集中できました。
個人的には、目的やターゲットの整理というのは、発注前の“宿題”というより、制作全体の土台だと思っています。
完璧に言語化できていなくても構いませんが、“制作目的”と“視聴ターゲット”が曖昧なままだと、会社選びも、企画の判断も、制作中の修正も、どうしてもブレやすくなります。
また、これも完璧でなくて構わないので、自分たちが求める完成形に近い印象の動画をいくつか提示してもらえると、完成イメージのすり合わせは一気に進みます。
言葉だけでは伝えきれないニュアンスも、参考動画があることで共有しやすくなるからです。
こうした事前情報がある程度そろっている案件は、制作会社としてもとても進めやすいですし、「ここまで考えてくれているなら、プロとして期待に応えたい!」と自然に力が入ります。
7. 結論|良い会社の見極め方
ここまでずいぶん細かく書いてきましたが、最後に僕なりに動画制作会社選びの基準を一言でまとめてみたいと思います。
表現力(会社) × 人間力(個人) = 動画の品質
ここでいう“表現力”とは、クリエイティブ表現における品質を支える知識や経験値のことです。
発注先は個人ではなく企業になることが多いでしょうから、まずは会社のホームページや制作実績を見ながら、どのような案件を手がけてきたのか、どのような品質の動画を作っているのかを確認することが重要です。
一方で、“人間力”には、担当者の理解力、伝達力、ホスピタリティ、誠実さなどが含まれます。少し言い方は悪いですが、担当者が“ハズレ”だった場合、どれだけ優れた制作会社であっても、満足のいく成果物になるとは限りません。
そして僕は、ここでいう人間力には、もうひとつ意味があると思っています。それは、発注者側の人間力です。
ここまで読んでいただいて分かる通り、制作会社を選ぶうえで各項目を正確に判断するには、自分たちが何を作りたいのか、何を優先したいのかを、ある程度明確にしておく必要があります。
制作目的、視聴ターゲット、活用方法、予算、納期、譲れない条件。そうした与件の整理が甘いままだと、どれだけ良い会社と出会っても、判断そのものが難しくなります。
それを踏まえて、動画制作会社を選ぶまでの流れを整理すると、次のようになります。
① 発注内容を明確にする
制作目的、視聴ターゲット、活用方法、予算や納期などの制約条件などの与件を整理します。
② 実績の良い制作会社をピックアップする
リファラルでも、オンライン検索でも構いませんので、まずは制作実績を見て、自社が作りたいものに近い経験を持つ会社を候補に入れます。
③ 面談で、人と進め方を確認する
候補が見つかったら、発注内容を伝えたうえで相談します。
このときに見たいのは、提案内容そのものだけでなく、「この人と進めたいと思えるか」です。また、面談に出てきた人が、実制作でどのような立場になるのかも忘れずに確認したいところです。
④ 面談後のフローを確認する
面談後すぐに見積もりに進む会社もあれば、企画提案を経て判断する会社もあります。この進み方も会社によって異なるため、自分や自社に合うかどうかを見極めることが大切です。
8. 結論|良い会社は一つじゃない
僕は、制作会社選びは病院選びに少し似ていると思っています。
たとえば専門的な疾患であれば、それに対応できる設備や人材を持った病院へ行くことが求められるでしょう。一方で、風邪をひいたときには、家から近いとか、予約が取りやすいとか、そうした利便性を優先して病院を探す人も多いはずです。
動画制作も、ある意味では同じです。
ここまでは、どうすれば品質の高い成果物を生む制作会社を見極められるか、という観点で書いてきました。しかし一方で、“品質”ではなく“負荷の少なさ”を求める案件であれば、これまでとは異なる判断軸になることもあるでしょう。
僕は、できるだけ品質の高い動画や映像を作って顧客の期待に応えることを、とても大切にしています。だからこそ、ここまでの提言にも、自分の仕事観は色濃く反映されていると思います。
しかし、品質を追い求めることだけを唯一の正解にせず、必要以上にタッチポイントを増やさず、それでいて十分に目的を果たせる形で仕上げることも、制作会社の大切な技術だと思います。
専門外来に行くべき症状もあれば、近所の内科で十分な症状もある。動画制作も同じで、案件の重さや難しさ、求める品質、社内の事情に応じて、選ぶべき会社は変わります。
だからこそ、良い制作会社を探すというよりも、自分たちの“症状”に合う制作会社を選ぶ。それが、もう一つの結論なのだと思います。
…ずいぶん長い記事になりました。ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
ここまで読んで、「この人とは話が早そうだ」と思っていただけたなら、お気軽にご連絡ください。制作会社を探すというより、まず考えを整理したい。そんな段階でも大丈夫です。初回相談・壁打ちは無料。平林が対応します。
Tel| 03-6821-1932
Mail| info@creempan.jp
9. 著者情報

平林健一|Hirabayashi Kenichi
クリエイティブディレクター/映画監督/作家/株式会社Creem Pan代表
1987年、千葉県出身。多摩美術大学卒業後、PR・メディア系の上場企業で演出職を務める。2019年にドキュメンタリー映画『今日もどこかで馬は生まれる』を企画・監督。門真国際映画祭2020で優秀賞・大阪府知事賞を受賞した。2021年に株式会社Creem Panを設立。
現在は、JRAをはじめとする馬事産業に加え、内閣府、デジタル庁、SmartHRなど、官公庁から民間企業まで幅広い領域でドキュメンタリーを軸とした映像制作を手がける。2024年には、NHK出版より『サラブレッドはどこへ行くのか』を出版した。特技は、感覚の言語化。



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